Evolutionary Topology Optimization

TOPOLOGY OPTIMIZATION / RESEARCH ATLAS

磁場と応力を同時に考慮した
トポロジー最適化

磁場と応力を考慮して、モータの鋼板と空隙の配置を探索する。
NGnet on/off法で得られた最終パレート解と、その形が持つ意味を紹介します。

01 / PARETO EXPLORER

ハイブリッド自動車を想定した体格のモータ最適化結果

平均トルク最大化・トルクリプル最小化
最大von Mises応力300 MPa以下の制約
点をクリックすると個体の形状を表示します。

最終世代のデータを読み込んでいます…
● 最終世代のパレート解(212点)制約を満たす解のみ

点にフォーカスしてEnterで選択。下の選択欄からも全個体にアクセスできます。

個体 —
■ 鋼板■ 磁石□ 空隙
平均トルク—Nm
トルクリプル—Nm
最大応力—MPa

代表解の磁束密度・応力分布・トルク波形は、下の基準形状との比較で確認できます。

OPTIMIZATION HISTORY

最適化の進化を動画で見る

200世代のパレートフロントと代表形状の変化を24.5秒にまとめました。代表形状は各世代で約110 Nmに近い解を選択しており、親子系列ではありません。

動画内の表記は日本語です。

動画を再生・ダウンロード(MP4)

02 / METHOD

NGnet on/off法による材料配置の表現

多数の要素を直接ON/OFFする代わりに、
ガウス基底の重みを設計変数にします。

NGnet / NORMALIZED GAUSSIAN NETWORK
φ(x)=∑i=1Nwigi(x)∑i=1Ngi(x)
gi(x)=exp(−‖x−ci‖22σ2)
φ(x) ≥ 0 鋼板 ONφ(x) < 0 空隙 OFF

100個のガウス基底・共分散パラメータ2×10⁻⁶ m²。磁石など固定領域を保ち、設計領域内の材料配置を変化させます。

  1. 01

    滑らかな設計場

    ガウス基底の重みが、穴の位置・形・つながりを決めます。対称な基本領域を展開し、モータ全体の形状を構成します。

  2. 02

    磁場と応力を評価

    回転位置ごとのトルクを非線形磁場解析で求め、遠心力による最大von Mises応力をP2要素で評価します。

  3. 03

    NSGA-IIで選択・更新

    平均トルク最大化とピーク間リプル最小化を両立する解を残します。応力などの制約違反にはペナルティを与えます。

手法の背景:Sato et al., NGnetを用いたIPMモータのトポロジー最適化(2015)。本サイトの数値・形状は本プロジェクトの計算結果です。

BOUNDARY RESOLUTION

リメッシュによる材料境界の高精度化

形状の離散化が、局所応力の評価を左右します。単に要素を増やすのではなく、NGnet関数を追加節点で再評価し、材料境界を捉え直します。

01等高線付近の背景メッシュを細分化
02NGnet関数を新しい節点で再評価

追加した節点でも材料の有無を判定し、境界の位置を求めます。

03MMGで材料境界に適合

加工R=0.5 mm、各90°円弧を16分割。結合面・分離面を保持。

04微小辺を検査して応力解析へ

結合端付近の条件を満たす微小自由辺のみスナップし、接続と要素品質を検証。

リメッシュと応力評価に関する参考文献

Takenouchi・Hirumaらは、IPMモータの最適化に応力・接続性・メッシュ品質の制約を取り入れ、材料境界に適合するメッシュを用いて磁場・弾性解析の精度を確保する方法を報告しています。本サイトのリメッシュと応力評価に関連する研究として引用します。

K. Takenouchi, S. Hiruma, T. Mifune and T. Matsuo (2024), Topology and parameter optimization of IPM motor considering mechanical strength by stress and connection constraints, COMPEL, 43(4), 839–851.
DOI: 10.1108/COMPEL-11-2023-0551 · 北海道大学リポジトリ

以下の精度検証値と本サイトの最適化結果は、本プロジェクトで得た値であり、引用論文の結果ではありません。

03 / REFERENCE TOPOLOGY

基準モータの形状と解析条件

基準は8極48スロットの埋込磁石型モータ。V字配置の磁石を固定し、ロータ鋼板の配置を探索します。

右図は磁石両端にフラックスバリアを備えた基準形状です。元CADから作成し、80 Arms・軸長50 mmで磁場・応力を解析しました。

磁石
V字配置 / 残留磁束密度1.25 T
積厚
50 mm
磁場解析
相電流80 Arms・位相30° / 0–15°、17点(初回除外)
応力解析
12,000 rpm / 平面ひずみ / P2要素
磁石との界面
遠心力で押し付けられる側の長辺のみ結合、他の面は分離・自由面

基本領域を対称展開したロータ。灰色=設計鋼板、朱色=磁石。

04 / REFERENCE COMPARISON

最適化形状と基準形状の比較

最終世代の代表解(平均トルク110.247 Nm・リプル4.264 Nm)を選び、
基準形状とともに64分割で再評価しました。

基準形状は、電気学会の公開モータモデルのメッシュ図を参考に、元CADの磁石端部フラックスバリアを含めています。

基準形状と最適化形状の1極分の比較
80 Arms・軸長50 mm・64分割での再評価
形状平均トルク
Nm
リプル
Nm
最大応力
MPa
基準形状(フラックスバリア付き)109.07017.368327.916
最適化形状110.2634.526298.944

最大応力は節点投影によるvon Mises応力。300 MPa超を朱色で表示します。

磁束密度・応力分布・トルク波形の比較を見る
基準形状と最適化形状の磁束密度分布
80 Arms・位相30°での磁束密度分布。
基準形状と最適化形状の節点投影von Mises応力分布
12,000 rpm・平面ひずみ・P2要素。磁石の外側長辺のみ結合し、他の面は分離しています。図中のMaxは表と同じ節点投影の最大応力です。基準形状は元CADの角部、最適化形状は加工R付きの形状を使用しています。
基準形状と最適化形状の64点のトルク波形
平均は算術平均、リプルは最大値−最小値です。

比較結果 CSV ↓ 64点トルク波形 CSV ↓

電流・進角による特性の比較

コギングトルクの比較

コギングトルクの比較
電流0 Armsでのトルク波形を比較しています。

トルク―電流進角特性の比較

トルク―電流進角特性の比較
進角0°~90°における平均トルクを、同じ電流ごとに比較しています。

最大トルク点のトルクリプル率

最大トルク点のトルクリプル率
計算済みの進角の中から、各形状・各電流で最大トルクとなる点を選択しています。リプル率はピーク間トルクリプル÷平均トルク×100です。

コギングトルク CSV ↓ トルク―進角特性 CSV ↓ 最大トルク点のリプル率 CSV ↓

05 / INDUSTRY–ACADEMIA COLLABORATION

産学連携に関するご相談

モータのトポロジー最適化や、磁場・応力を考慮した設計に関する産学連携のご相談をお受けしています。

クラウド計算費用の目安

今回の最適化では、1個体あたり17ステップの磁界解析、リメッシュ、1ステップの応力解析を行いました。AWSなどのクラウドを利用する場合、200世代の計算費用は以下の試算となります。

解析条件に基づく計算費用の目安
1世代あたりの個体数世代数計算費用の目安
640個体200世代約3万円
1,024個体200世代約5万円

クラウド計算費用の参考値としてお考えください。実際の費用は、解析条件や利用するクラウドの構成・料金によって変わります。